相続人に該当するとは言っても、必ずしも被相続人の遺産を相続しなければならないわけではありません。
例えば、被相続人が多くの借金を抱えていたという場合や、自分はいいので他の相続人にあげたいという場合には、相続権を放棄しても構いません。
相続が開始した時には、放棄をすべきかどうかを考えることになりますが、放棄の本当の効果をご存知でしょうか。
放棄をすると被相続人の財産も債務も全く引き継がなくなると思っている方が多いですが、実際には少し違います。
放棄をした者は相続権を失うだけなので、被相続人が遺言書においてその者に遺産を与えるとしている場合は、放棄をした者でも遺産を取得することが可能です。
ただ、相続人ではなくなっているため、相続税法に規定されている優遇措置の適用を受けられない可能性があります。
例えば、生命保険金については大きな非課税制度が用意されています。
その非課税となる金額は500万円に相続人(放棄した者を含む)の数を乗じた金額にもなるのですが、この制度は相続人でなければ適用を受けることができません。
故人の遺産を取得すべきであると考えられている者が相続人です。そのため、相続人でないと適用を受けられないとしている優遇措置は他にも数多くあります。
このように相続を放棄することで、被相続人の債務を負う必要はなくなります。
ただ、放棄をすることが必ずその人にとってプラスになるとは限りません。
放棄をしようかと検討しているのであれば、専門家である税理士に相談することをおすすめします。